保釈とは,保釈保証金を裁判所に納付することを条件として,被告人に対する勾留の執行を停止して,身柄拘束を解くものです。裁判所に出頭しなかったり,逃亡したりすると,保釈保証金を没取されることになります。

  保釈は,裁判所に起訴された後にはじめて適用される制度ですから,起訴される前の捜査段階(逮捕後,最長23日間)で保釈を請求することはできません。

  また,保釈請求は,刑事訴訟法の条文上は,証拠隠滅のおそれなど,一定の除外事由がない限り認めなければならないとされていますが,現実の運用ではなかなか認められない場合もあります。犯行を否認している事案では,検察官が「保釈不相当である」と主張し,頑なに抵抗するときもあります。

  さらに,身元がしっかりとした家族・親族や会社の社長・上司など,被告人が逃げないように見守って,必ず公判に出頭させると約束できる方(身柄引受人)がいるかどうかもポイントとなります。

  さらに,裁判所が保釈を認めたとしても,保釈保証金が納付できなければ,実際に釈放されることはありません。裁判所は,被告人の資力を検討して,没取されたら困る金額を設定しますが,どんなに低くても100万円を下回ることはないのが実情です。

  刑事訴訟法の建前では,被告人は,裁判の当事者であるとされており,裁判のために弁護人と自由に打ち合わせをしたり,防御活動をしたりすることができなければならないのですから,保釈をもっと柔軟に認めるという運用が必要であると言われていますが,そのようになっていないのが現状です。