一番気がかりなのは,どんな処分を受けるかということかもしれません。判決はおおむね,次のような種類のものがあります。有罪判決のうちどの刑になるかは,法律で定められたものの中から裁判官が選択して決めます。

 (1)無罪判決 →確定すれば,当然,いかなる処罰も受けません。

 (2)有罪判決

    【1】罰金・科料 →有罪判決の中で最も軽い刑罰です。

    【2】禁錮・拘留 →身柄拘束されますが所定の作業に服しません。

    【3】懲役 →身柄を拘束され,所定の作業に服します。

    【4】死刑 →現在の刑法では,最も重い刑罰です。

     ※禁錮と懲役には,無期と有期があります。

  ◆実刑と執行猶予◆

  懲役刑や禁錮刑が言い渡されても,執行猶予が付けば,直ちに刑務所に収監されることはありません。では,執行猶予は,どんな場合に付くのでしょうか。基本的には,以下の条件をみたした場合に執行猶予を付けることができます。

  ・以前に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと(または前の刑が終わってから5年以上が経過していること)

  ・3年以下の懲役・禁錮を言い渡すこと

  ・執行猶予を付けるにふさわしい情状があること

  これら以外にも法律上,執行猶予を付けることが可能な場合がありますが,さらに厳しい条件をみたす必要がありますので,過度な期待はしないほうがよいでしょう。

  では,執行猶予を付けるにふさわしい情状とは,どんなものでしょうか。常習的な犯行でないこと,計画性がないこと,前科・前歴がないこと,二度と犯罪を犯さないことを監督できる人が身近にいること,被害弁償をしたこと,被害者が許していること,住居や職業が定まっていること,心から反省していることなどが挙げられます。これらの事情が多ければ多いほど,執行猶予が付けられる可能性は高くなります。

  被告人が有罪であることを認める場合,弁護人は,この執行猶予が付くようにあらゆる努力を払います。被害弁償をしたり,示談交渉をしたりするのは,その一環です。執行猶予を獲得するためには,被告人の心からの反省はもちろんですが,ご家族など周囲の協力も必要となります。

  執行猶予が付けられたとは言っても,無罪放免というわけではありません。ある一定の期間,刑の執行を猶予し,その期間を無事に経過すれば,刑の言い渡しの効力がなくなりますが,その期間内に犯罪を犯した場合には,執行猶予が取り消され,以前に言い渡された刑についても執行されることになります。たとえば,「懲役2年,執行猶予3年」という判決が出されたとすると,判決確定の日から3年間,何らの犯罪行為をしなかった場合は,刑務所に行かなくてもよいということです。したがって,執行猶予の期間中は,「次に何かをやらかしたら即刑務所行きだ」という心づもりで真面目な生活を送る必要があるでしょう。