遺言がなかった場合は,相続財産は残された親族(法定相続人)の間の協議にて,分割の額及び方法を決めることになりますが,前述のとおりの理由で,もめてしまうことが多々あります。

  遺言を残していたとしても,「親族の一人が,(遺言を書いた人に)圧力をかけて書かせたものではないか」などと,紛争が生じることもあり得ます。

  そういう場合は,無理に協議をまとめようとせず,家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てましょう。

  申立の方法は簡単で,最寄の家庭裁判所に行き,申立用紙に所定の事項を記入し,必要な書類(戸籍謄本等)を取り寄せるだけです。

  あとは,約1ヶ月に1度,関係者全員が家庭裁判所に出頭し,調停委員(60歳代くらいの男性1人と女性1人。)の主導の下,遺産分割の協議を行うこととなります。
  協議がまとまれば,家庭裁判所が協議の内容を「調停調書」という書面にしてくれます。協議がまとまらない場合は,裁判官が適正妥当と思われる分割内容にて分割するよう判断してくれます(「審判」といいます。)。審判の内容も,もちろん書面にしてくれます。