自己破産とは,裁判所に対して自分の収入や財産を隠さず明らかにし,高価な財産は処分する代わりに,借金を法的になくしてもらうという制度です。

  お金を貸す側にとっては実におそろしい制度ですが,債務者の経済的更生を図るために,法律で認められています。

  破産について非常にマイナスイメージをもっている方がいらっしゃいますが,返せない借金をずるずるといつまでも引っ張ることこそ,実は債権者にとってはもっとも迷惑なことなのです。破産をしない限り,お金を貸す側(金融機関)は,それを資産として計上しなければならず,その資産には税金がかかるのです。返せないことが確実になった段階に至れば,早い段階で破産申立をしてしまったほうが,むしろ債権者のためにもなることなのです。また,破産しても,戸籍や住民票に記載されることはありません。

  会社でない,個人の破産申立の場合は,免責申立も同時に行い,裁判所から免責許可決定が出されると,破産申立までの借金は,棒引きになるという仕組みです。なお,税金の滞納分,養育費,罰金などについては,免責されません。

  あなたが破産したとしても,保証人が付いている場合の保証人の債務はなくなりません。また,抵当権などの担保が付いている場合は,担保権を実行されてしまう(担保の付いている不動産を売り払って,売却代金を借金の返済にあてる)ことになりますので,注意が必要です。

  余程裕福な方でない限り,家にあるもののほとんどすべては,生活必需品として,差し押さえ禁止動産に該当します。家財道具一式が差し押さえされるなどと言うことはありません。一方,自宅をはじめとする不動産,及び自家用車などの高価な財産は多くの場合,処分して債権者への支払にあてる必要があります。例外的に処分しなくて良い場合もありますので,絶望することなく,まず弁護士にご相談ください。

  破産を申し立てると,弁護士,公認会計士,司法書士,警備業や保険の外交員,会社の取締役などについて,資格制限を受けることがあります。しかし,これら以外は,基本的に仕事に影響することはありません。「破産をしたらクビ」などということも,基本的に心配無用です。それでもご心配であれば,弁護士にご相談いただければと思います。